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私、キレイ?-Another.ver

杖をついた男が赤いコートを着て白い大きなマスクを口につけた女性に出会った。
女は男に近づくと一言、こう尋ねた

「私、きれい?」
「はい、きれいです。」

するとその女性は突然マスクに手をかけ、それを剥ぎ取りながらこう言った。
「コレデモキレイカイ…?」何と、その女性の口は耳まで裂けていたのだ………!

しかし、男は少しだけ困った顔をしながらこういった。
「うーん、困りましたねえ…私は目が見えないんですよ。なので『これでも』というのが何のことかは分かりません。」

少し思案した後、女は男の手を取ると頬の裂けている部分をなぞらせた。
頬に触れた男の手が一瞬揺れ、
自分の話している相手が口の裂けている女だと気づいた。

「コレデモ…口ガ避ケテテモ綺麗カァァァァ!?」
「ええ、きれいです。あなたはきれいな人です」

そして、男は光を感じない目を女に向けるとこう続けた。
「私は光を失ってから随分たちます。そして多くの人にあってきました。
なかには同じように道で声をかけられた事もあります。
でも多くの人は私が盲目だと知ると
声をかけたことをあやまり、同情し、申し訳なさそうに去っていくのです。 」

「でもあなたは私の意見を聞こうとしてくれる。
口のことも触れさせることで教えてくれた。
私を特別視していないようですごく嬉しいことです。」

「私は外見の事はわからないのでそういった基準でしか判断できませんが、
あなたは少なくとも私にとってはきれいな人です。
失礼でなければ、もっとあなたと話をしてみたいです。」


と、とてもうれしそうに男は話した。
女はポカーンとした後、急にボンッ!と音が出そうな勢いで赤面し、
「きょ、今日は時間がないので失礼します。」
とだけ言い残して走り去ってしまった。



…それからというもの、杖を持った男と大きなマスクをした女性が
仲よさそうに話しながら歩いているのがたびたび目撃されたという。

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只今の一曲:Mother Russia/Renaissance
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zita

Author:zita
東京在住。音楽、読書、映画、ドラム、お絵かき、廃墟が好き。趣味は広く広くを目指して。好きなものは深く深くを目指して。