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巨人たちの星/J.P.ホーガン

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(あらすじ)冥王星の彼方から届く<巨人たちの星>のガニメアンの通信は、地球人の言葉で、データ転送コードで送られていた。ということは、この地球はどこからか監視されているに違いない。それも、かなり以前から……! 五万年前に月面で死んだ男たちの謎、ミネルヴァを離れたガニメアンたちの謎など、全二作の謎が見事に解き明かされる、。シリーズ第3作!

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ということでJ.P.ホーガンの「巨人たちの星」シリーズ三部作の完結編です。この後にまだ「内なる宇宙」でシリーズは続いていきますが。

あらすじの通り、ドラマは更に壮大さを増していきます。前作では悠久の故郷、巨人たちの星、ジャイアンツ・スターを目指しガニメアン達が旅立つところで終わりましたが、今作ではガニメアン、地球人に加えて更なる第三勢力が現れます。彼らとのせめぎ合いや、更に今まではなかった地球内部での国家間の争いなどにより、シリーズの中では唯一と言っていいかもしれませんが、かなり「戦い」に比重が置かれています。特に政治や外交の駆け引きの描写は前二作には一切なかったもので、ホーガンが意図的にはぶいたんだろうなあとか思いながら読んでたので、少し雰囲気が変わりすぎてて驚嘆しました。


今回は自分が一番好きなダンチェッカー教授に加えてカレン・ヘラーという登場人物がものすごい活躍をします。このダンチェッカーという人物は頭はもう異星人たちも扱いかねるくらいにずば抜けていいのですが、人間性に問題がありまくり、基本的に自分第一主義で人の話なんかきかねえ超絶頑固じじいなわけですが、その彼がヘラーの話をきいてしぶしぶそれもあるな…とうなずくシーンで思わずほくそ笑んでしまいました。ダンチェッカー可愛すぎる。あ、主人公のヴィクター・ハントはなんかガールフレンド作っていちゃついてました。


そんな彼らが活躍する事により解き明かされる、人類の歴史そのものをも改変させかねない衝撃の真実。ここら辺はもう前作までを見て分かるとおり間違いなくホーガンの真骨頂で問答無用に最高級のカタルシスをもたらしてくれます。あちらこちらで語られるホーガンの楽観主義傾向、科学万歳万能論的嗜好はもうここまでくると知るかヴォケ、と笑い飛ばしてやりたくなるくらいのレベルです。まさか人類の罪が全部こんな形で解決するとは。



「今しがたの危険も、未知の恐怖も、彼らはまるで気にしない。そうして、あのように冗談を飛ばし合って笑い興ずることだろう。地球人は常に何かに挑み、失敗しても笑って忘れ、すぐにまた試みる。最後には、きっと目的を達するのだ。間一髪の危機も、彼らにとってはもう過ぎ去ったことである。勝負で一本取ったというだけのことにすぎない。今、彼らの頭にあるのは次の一本のことだけである。」

確かに気持ち悪いほどの楽観主義というか人類万歳主義ではある。




あえて批判点を語るとすれば、今作での争いの描写は全編通していまいちでした。というのも基本的に敵がへたれすぎてて、やられてる図しか見えないところが問題だと思うんですね。だからこそ前作や前々作のように、科学力の描写やそれにによる謎解きの描写は素晴らしいのですが、争いごとや戦争の描写はそんなにはらはらするものでもありませんでした。といいますかホーガンにそれは求めていない。



とはいえ存分に楽しめた三部作であることはいうまでもありません。「星を継ぐもの」は「宇宙を継ぐもの」へ。「内なる宇宙」も読んでみようと思います。
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只今の一曲:大胆は無知と卑劣の子であって、他の資格より遥かに「劣」る/te'
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zita

Author:zita
東京在住。音楽、読書、映画、ドラム、お絵かき、廃墟が好き。趣味は広く広くを目指して。好きなものは深く深くを目指して。