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イリヤの空、UFOの夏/秋山瑞人・ネタバレ有(本)

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(wikiよりあらすじ抜粋)
浅羽直之は園原中学校の二年生。非公式のゲリラ新聞部に所属する彼は、部長である水前寺邦博と共に、夏休みの間中、裏山にてUFOを探す日々を送っていた。園原にはUFOの噂が絶えない有名な空軍基地があり、水前寺はその秘密を追究していたのだ。しかし夏休み全てを費やしても、UFOについては結局何の成果も得られなかった。

そして夏休み最後の夜、せめてもの思い出にと浅羽は学校のプールへと忍び込む。が、そこには伊里野加奈と名乗る、見慣れぬ不思議な少女がいた。状況が飲み込めないままに浅羽は伊里野と触れ合うが、すぐに伊里野の兄貴分と自称する謎の男が現れて、その夜はそれでお開きとなった。

そして翌日の始業式の日、浅羽のクラスに伊里野が転校生として編入してきた。ささいな事件がきっかけでクラスから孤立してしまった伊里野と、そんな伊里野のことが気にかかる浅羽と、伊里野の周囲に垣間見える幾つもの奇妙な謎。そんな風にして、浅羽直之のUFOの夏は、その終焉に向けて静かに動き出した。

少年と少女が織り成す、切なくておかしくてどこか懐かしいSF青春ラブストーリー。


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ラノベをほとんど読まない自分が異様にお勧めされたのでなんとなく買って読んでみた本書のご紹介です。ネタバレする気なかったんですがしないと紹介できなそうだったんで、微妙にします。核心部分は伏せますが。






















全4巻ですが、ラノベを読みなれてないからか、ものすごく一瞬で読み終わった気がしました。もうこれでもかってくらいの典型的な「ボーイ・ミーツ・ガール」物語ですね。思い出作りにプールに忍び込んでみたらそこには謎の少女がいて、それの背後には何やら壮大な秘密がありそうで、と思ったらその少女は転校してきて…てなあらすじ的にはなんとも「ありがち」なおはなし。


気づけば、日本三大「セカイ系」物語のひとつでした↓
狭義のセカイ系=「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、『世界の危機』『この世の終わり』など、抽象的な大問題に直結する作品群のこと」/これまたwiki参照

ちなみにほかに「セカイ系」としてあげられるのは新海誠の「ほしのこえ」、そして高橋しんの「最終兵器彼女」らしいです。とはいえ「セカイ系」の定義とかになってくるとまた難解になってきて、若干自分の卒論ともかぶってきて嫌なのでそこら辺は省略します。


ということで物凄く乱暴に枠組みを作るならばこの物語も「さほど絶望感、終末観にあふれていないサイカノ」という事になります。「世界の運命を担って傷つくヒロインに対し、何もできない主人公の葛藤」というのがどうしたってあれを想起させないわけにはいかず。二人の逃避行のところ、ヒロインが声が出なくなるところあたりで完全にかぶった。

しかし特筆すべきはその学園ラブコメとSF世界とのバランスの「悪さ」でしょうか。第一話からヒロインの全貌が明かされる「サイカノ」に比べて、確実に狙ってやってるだろうと思えるくらい、前半から中盤、終盤になってもこの作品、イリヤの正体がわかりません。第3巻までは殆ど学園ラブコメに終始します。とはいえ文化祭編のラストなど、伏線は何度も張られていくわけですが。

そして最終巻だけもはや別作品かっつうくらいに暗澹、悲惨な展開が待ち受けています。保健室の先生に衝撃的な事実を聞かされてから、主人公の取り巻く世界は一変。主人公はヒロインと一緒に逃避行するわけですが、その途中で決して言ってはいけないことをヒロインにぶちまけてヒロインがぶっ壊れます。記憶を失い、退行していくヒロインと主人公が辿る「最後の道。」この章が自分にとってのクライマックスですね。


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「最後の道」のとあるシーンにて。ヒロインは記憶を失っているので主人公を浅羽だと認識できません。常にだれか別の人間と勘違いしてしまいます。そして彼女の記憶はどんどん風化していきます。一緒に逃避行したときから文化祭の日へ、そして最後には最初に出会ったプールの日まで逆行してしまいます。そのヒロインがずっと思ってきた主人公への感情が…

てなところでふわーっときました。こういうのが好きなんです。ていいますか明らかにこの物語、かなりの大部分をこの一場面に集約するために世界を描いてきた気がします。しかしそれで期待持ちすぎたせいか、最終章のカタルシスはそんなになかったですね…全編を通してシュージの足元にも及ばないくらいどーしよもない浅羽の、ここにきてのようやくの決意は格好いいと思いましたが。

あとなにげに逃避行中に出会ったホームレス、吉野が素晴らしい。めちゃくちゃに人間嫌いになる。ここら辺は結構読んでて痛い個所ですね。こういうのもっと増やしてほしかった。

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一応アニメ化もされてるみたいなので少し見てみましたが、これはちょっとだめだと思って1話の途中で見るのやめました。原作読んだからまだしも読んでなかったら確実に見ないであろうアニメだ。以下思ったことをつらつら書きます。


・一人称がとことん移り変わるのが読みづらくて仕方がない
・ラノベってそういうものなのだろうけど、本の冒頭にキャラクターが二次元イラストで描かれているのがどうしても受け付けない。最初は自分で情景を想像しながら読みたい。だったらラノベ読むなその通りだ。
・水前寺はあのまま消えてくれた方がよかった。
・大食い大会の章の最後のイリヤのキャラの作り方が素晴らしいと思った。しかしこういう周囲との関係の変化の伏線も丁寧に描こうとしているのに最終巻で見事にぶつ切れになっちゃってるのはさすがに…
・端々のセリフ回しが見事すぎるといいますか心に刺さる。伝えたいことがありありと伝わってくる。
・主人公が首から虫を切り抜くシーンも素晴らしい。痛さ=決意がありありと伝わってくる。
・「ほしのこえ」も見てみます。



返す返すも、夏に読めばよかった。小説って音楽と同じで季節感がものっすごい大事。
感想が長くなってしまった。まあ批判点も挙げましたが総じてよい物語でした。ラノベ、専門外っていうかほとんど知識無いけど色々調べてまた何か読んでみよう。
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只今の一曲:博士と孔雀/天野月子
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zita

Author:zita
東京在住。音楽、読書、映画、ドラム、お絵かき、廃墟が好き。趣味は広く広くを目指して。好きなものは深く深くを目指して。