P.O.S Ⅱ

2005年のアカデミー賞短編アニメーション部門にノミネートされた新人監督シェーン・アッカーの卒業制作の作品『9(NINE）』を、かのティム・バートンが「これまで生きてきた中で最高の11分間だった」と絶賛して長編映画化された作品。

ちなみに元の作品はこちらで見れたりします↓




もうずっと前から死ぬほど楽しみにしてて、ほぼ公開と同時に映画館へ駆けこみました。以下感想を箇条書きで述べます。


（良かった点）
・荒廃した世界観、色づかいの素晴らしさ
・個性的なキャラクター達。人形たちはひたすら可愛く、マシーンたちは滅茶苦茶に格好いい。
・アクションシーンの迫力
・人形の表情


（悪かった点）
・ストーリーがこざっぱりしすぎていた点、設定の厚みのなさ
・主人公に主人公ならではの設定がなかった


総じて世界観勝負（まあ監督ではないとはいえティム・バートンが大いにかかわっているのでこうなるのはある程度予想付いてたのですが）の作品でした。荒廃した世界の描き方や、色彩の妙は本当に素晴らしいです。もとの作品の狭い世界も十分良かったのだけど、90分と枠が拡張してより広く描かれた世界は初見から惚れぬきました。


そして微妙に下半身がだぼっとした人形たちは本当可愛い。9体いる彼らはその中で巨漢だったり、女性がいたり（この女性が一人だけずば抜けて戦闘能力が高すぎて笑える）と個性的です。こいつらのコミカルな動きと言ったら。


そしてそしてこの作品で最も素晴らしいのが敵となるマシーンたちの造形ですね。公式ホームページの"Gallery"のところで結構見れるので是非見て頂きたいです。プテラノドン型マシーンとの戦闘シーンの空を大いに使った画面の美しさ、仲間の死体を囮に使う鬼畜な蛇髑髏型マシーンのぞわぞわするような造形は…それはもう非常に目の至福でした。ああ、あの蛇髑髏型マシーンは特に素晴らしかった…。



反面、ストーリーや設定が本当に浅かったですね。分かりやすくはあったのですけど、もっとどんでん返しの真実とかカタルシスとか期待しちゃってただけに、ああそんなもんかと思ってしまいました。あと主人公、余計な事しすぎ。そのせいで彼の決意とか全部、「いやそれお前自分の責任だろうが」とか思ってしまう。主人公サイドでは7がやっぱり圧倒的に格好良かったですね。

まあでも深く詰め込み過ぎて意味不明になってる作品よりはよいかと思います。こと世界観においては、ティム・バートンのどの作品より自分は好きなので、そういうのが好きな方は是非大画面で見てください。繰り返しになりますがマシーンたちの造形は本当に素晴らしいですよ。
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只今の一曲：Nights in White Satin/The Moody Blues

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