P.O.S Ⅱ

一切の容赦、禁止。


という形容が最も似合っているであろうスプラッター色全開の密室お化け屋敷型（「●REC」みたいなもんです）ゾンビ映画でした。人間関係、心理描写にも結構焦点を当てておりましたが、そんなもんはもうどうでもよく、とにかく徹底してバイオレンス、流血、そして食事食事食事…という貫かれたスタンスが素晴らしかったです。


何より素晴らしいのか、その映像センス。狭苦しく薄暗く、下手したら一辺倒になってしまうその舞台で繰り広げられる、人々の心に焼きつく構図の連発。カメラワーク。ビルの周りを何かが近づいてきているシーンの怖さや、屋上にのぼった彼らが見る惨状の美しさなんかは、とにかくハイセンスで素晴らしいです。なんだあの無駄な空の美しさは。



そしてこの映画の特徴として、ゾンビ映画なのにやたら殴る蹴るが多いんですね。ヒロイン様が女ゾンビを5分以上雄たけびを上げながら殴り続けるシーンなどは、ああこの監督の嗜好はなんて分かりやすいのかと笑ってしまいました。といいますかそんな感じで味方布陣が中々に強いせいでゾンビ史上「最強」ってとこが見事に薄まってますね。といいますかゾンビ史上「最強」「最多」とありますが、「最強」はどう考えても「バタリアン」に譲らざるを得ないし、「最多」は「デイ・オヴ・ザ・デッド」の時点で50億人くらいゾンビ化しちゃってんだから、どっちも誇大広告ですな。


そして、300人のエキストラを使用してのクライマックスのシーンはもう本当笑うしかないです。大量のゾンビに囲まれて死ぬなんてゾンビ映画で必ず登場するのに、なんだこのカタルシスっぷり。『ドーン・オヴ・ザ・デッド』のゾンビの海に強行するシーンにも比肩しうる、とんでもない名（迷）シーンです。ゾンビ好きには是非見て頂きたい。


↓これの1分30秒こえてからのシーン。無茶しやがって…。
『ザ・ホード』トレーラー（Youtube)





『ゾンビランド』は今日から公開だし、まさかの『ワールド・ウォー・ゼット』の映像化にも本当心が震えました。なんなんだろう昨今のこのゾンビブーム。嬉しいんだけど、売れる前からファンだったバンドがデビューしてしまっている様な、妙な気分。

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只今の一曲：Secrets on parade/Tim Christensen

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