P.O.S Ⅱ

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以前も言ったかもしれませんが自分、「秘密基地」というのが本当好きでして。

「シックスセンス」で主人公が作っていたシーツのテント、「スタンド・バイ・ミー」の冒頭の少年たちの基地、そして「クローディアの秘密」のクローディア達の隠れたメトロポリタン・ミュージアム。


とにかく、人に知られない狭い狭い、自分だけの秘密基地ってのがすごい好きなんです。

児童文学とは、要するに「秘密・神秘の文学」だと自分は結構考えているところがあって。子供たちは大人たちとは別の世界に生きています。どんなに大人たちが管理しようとしても、すればするほど彼らは彼らだけの秘密基地を作り上げ、そこでの体験・光景は一生秘密の宝物として、人生を彩り続けます。


そういう神秘的な秘密の物語が、幻想的で美しくて時に残酷な物語が、すごくいいと思うのですね。

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本書の主人公・アンナは大人たちと打ち解けられず、自分ひとりの世界である「しめっ地やしき」の近くで一生の秘密の出会いをします。風車に、草原に、川に囲まれた二人だけの世界。粗筋にもありますが、その二人の世界は決して他の誰にも共有しえない秘密の世界なのです。


下巻の中盤から物語はその秘密を紐解く物語になっていきます。マーニーとは誰だったのか…？
一応の答えは出るのですが、本当の意味で彼女の事を知っているのはアンナだけなんです。その質感、会話、匂いは、一生彼女の宝物となっていくのでしょう。


風車ってずるいと思います。お勧めです。Anathemaの様に、寒々しいノスタルジーと凛とした空気を感じさせてくれる極上の音楽と一緒に冬の夜長にじっくりとどうぞ。そして読み終わったら、是非秘密の宝物として光景を脳裏に刻んでください。











ここは、まちがいなく、だれにも会わないでいられるところでした。もしも、だれかが散歩に来るようなことがあったとしても、ここにいれば、その人がまだはるかかなたの小さな点に見えているうちに見つけて、うんと低く横になって、その人が行ってしまうまでかくれていられました。今までにも、アンナは、なんども、砂のくぼみに寝ころんで、草のてっぺんをさらさらわたる風の音や、海どりの遠い叫び声や、海のたてるやわらかなざわめきをききながら、午後の時間をすごしました。ここにいると、まるで、世界の果にでもいるようでした。（143頁より抜粋）

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この本に合う一曲：A Simple Mistake/Anathema

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